社長ブログ

高いお味噌

個人のお客様から「お土産に貰ったけど美味しかったから注文したい」というお電話を頂くことがあります。
嬉しい限りで、パッケージや商品名をお聞きしてご注文を受け付けますが、以前「一番高いお味噌が欲しい」とのご注文を頂いたことがあります。

「価格が高い→いい原料で手間を掛けて作っている→美味しい」との連想からだと思いますが、メーカーとしては価格と一般的な(多くの人が感じる)美味しさは必ずしも比例するものではありません。
高価な原料を使って手間を掛けて醸造すれば原価は高くなります。
当然、それが味噌の品質を高め、美味しい味噌が出来るという作り手の考えによるものですが、同じ作り手の他の味噌と比較して、品質や味の差別化ではあっても優劣を論じられるものではありません。
「高い味噌」とご注文下さったお客様には、お味噌の地域性や普段慣れ親しんだ味との繋がりを考慮し、今まで召し上がっていたお味噌のタイプやご出身地などをお聞きして、一番合うと思われるお味噌をお薦めしました。
消費者が食品を選ばれる際には、価格以外のポイントとして、味、安全や健康面への配慮、容器等の使いやすさなどの他、ストーリー性(その商品の開発・製造・消費に深く関わるエピソード)や最近はSDGsに沿ったものかどうかなどが重視される様になっています。
ストーリー性のある商品は、作り手の思い入れの分だけ付加価値も高くなります。SDGsへの配慮は、企業の社会的責任が強く問われる昨今では無視できず、消費者の意識も高まっています。いずれも、そのお味噌を食べる事で得られる消費者の満足度に関わることで、満足(共感)を得られれば大きな売上に繋がります。
こう考えてくると、お電話でご注文を頂いて、お味噌のことをご説明しながら商品を販売する過程も、上高地みその味と同様にお客様の満足度に大きく関わっていることに気づかされます。
「上高地みそを貰って食べたら美味しかった→電話で注文した→説明を聞いてお味噌を選んだ→お味噌が届いて早速食べた」という一連の体験、ストーリーが満足度につながり、その対価としてお金をお支払い下さる事になります。「高い味噌」とおっしゃたお客様は、無意識にこうした意味で「より高い満足度」を求めておられたのかも知れません。
商品の差別化が求められる中で、中々アイデアも出ずに苦労しますが、商品をこのような一連の体験と考えれば、差別化の余地はまだまだあると考え直しました。

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