社長ブログ

もったいない

5月のコラムで味噌の値上げの話題を取り上げましたが、帝国データバンクの調査によると、主要企業105社で本年に入ってからの食品の値上げは、予定も含めて11000件近くに上るそうです。背景にある原料や資材の価格上昇は続いており、最終製品の値上げの動きは更に広がる可能性があります。

景気拡大が不確かな中での海外要因による価格上昇は、消費者にとっても値上げするメーカーにとっても厳しい事態で、日銀総裁の「家計の値上げ許容度が高まっている」といった表現には強い違和感を感じます。

家計や企業が価格上昇に苦慮している中で、「世界の食料価格が1%上昇するごとに1千万人近くが“極度の貧困”(1日1.9ドル(約248円)未満で暮らす)に陥る」という世界銀行の調査が報じられました。アフリカなどの食糧危機のニュースでは、穀物が絶対量の不足と価格の高騰から入手できない地域が増え、事態が益々深刻化していると伝えています。

国際的な穀物需給の状況は、日本の私たちにとっては食品の価格の問題で、市場メカニズムの機能を前提にして、値上がりは節約や安値品への切り替えといった日常的な生活防衛の次元で論じられますが、世界的には絶対量の不足、食糧危機による貧困層の飢餓状態の深刻化といった観点から問題視されていることを改めて気づかされました。

しかも、絶対量の不足と価格の上昇が天候などの自然現象によるものであればまだしも、小麦について言われているように、戦争でウクライナからの輸出が滞るという人為的な要因によるものであるだけに、苛立たしさが募ります。日本においても、安全保障という市場メカニズムとは別の視点から食品を考えれば、節約や代替といった次元では解決できない絶対量の不足は十分に起こりえる問題です。

日常感覚ではなかなか結びつかない身近な食品値上げと世界な規模の食糧危機を、同じ次元の問題として捉えて行く必要があると思いますが、その手がかりが「もったいない」という感覚だろうと思います。「もったいない」には、金銭的な損得の問題だけで無く倫理的な要素も含まれていますので、値上げを機に、もったいないという感覚を磨いて、食品のロスを減らし、飢餓に直面する人々に対する意識を高めていきたいと思います。

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